めにゅ〜へ戻る(笑)!

4月25日(火)   北条司のテーマは<TVアニメ「エンジェルハート」

 漫画家・北条司さんといえば、「キャッツアイ」「シティーハンター」などが あまりにも有名。原作は、「キャッツアイ」のみ全巻揃えてないだけで、 あとの作品はすべて所有している。うん・・・それくらい大好きなのだ(笑)。
 そんな、これまでの作品の集大成だと個人的に感じているのが、今回の 「エンジェルハート」。原作ももちろん購入しているし、今月に入って、 キッズステーションでも放送が始まったので、欠かさず観ている。
 この作品がどうして、北条作品の集大成なのか・・・と考えているのは、 北条さんが本当に伝えたいもの、本当に描きたいもの、それらがすべて 詰まっている、そして相当な覚悟のもとに執筆されていると感じているからだ。
 正直、「シティーハンター」のファンであれば、この作品はかなりキツイ。 ショックが大きすぎて、私はしばらく立ち直れなかったのだ。
 この作品の初めての連載は、集英社を離れて新潮社から。しかも週刊で初めて創刊されるという 「コミック バンチ」。その作家陣のほとんどが、かつて「週刊少年ジャンプ」で 看板を背負ってきた、そうそうたるメンバーでの華麗なる船出だった。
 北条さんの新作、しかもあの「シティーハンター」の続編らしい・・・という噂を 聞きつけて雑誌を購入したのだったが・・・そのあまりの衝撃的なスタートに、 放心してしまったことを今でも覚えている。
 シティーハンターと呼ばれる闇のスィーパー:冴羽撩。そのパートナーである 槇村香が交通事故に遭い死亡、その心臓が誰かに移植されてしまう・・・。
 という、驚愕の事実から入ってくるのだから、ファンとしては非常にショックだった。
 しかも、描かれているシチュエーションが、まさしく二人が結婚するその日・・・!
 ・・・ここまでどん底に陥れて、冴羽に、そして香に何をさせようというのか 見せようというのか・・・私は、少し北条さんを憎らしくも思ってしまった。
 結局、心臓を移植された女の子は冴羽のもとへ来て養女となり、いわゆる 「親子」として生活していくことになる。母親を、心臓に宿った香として。
 そう、女の子を、冴羽と香の二人の子供として位置づけてしまったのだ。
 冴羽と香の愛情、そして二人の女の子への(グラスハート→螢香という名前になる) 愛情、その在り方がとても切なくてとても、胸が熱くなる。
 原作もTVアニメも、涙無しには観られない。切なくて切なくて、たまらなくなる のだ。
 どうしてこんな思いを読者にさせるのか!? どうしてここまで、心の深淵までを 描こうとするのか。
 「エンジェルハート」という作品へ行き着くまでに、北条さんはこれまで、 「こもれ陽の下で・・・」「ファミリー・コンポ」といった、「絆」をテーマにおいた 作品を描き上げてきている。そのどれも、絆を描くに当たって敷かれているものは 「家族」である。
 そのテーマが如実に表れているのは短編集。「ファミリー・プロット」という作品は、 記憶喪失になった男性とその娘、 そしてそんな男性と再婚をしようとしていた女性。記憶を取り戻させようと、 ぎくしゃくしていた娘と女性が獅子奮闘していくのだけれど・・・。結局は、 血のつながりも何もない関係の中で絆や信頼関係は生まれるのか、家族として 成立できるのか・・・。はっきりとした北条さんの意志が、そこには息づいていた (しかも、のちに男性とその娘の間には血縁関係がないことが発覚!  3人とも全く、血のつながりがないという事実が成立するのだ)。
 初期の短編集で明確にされていたテーマが、ここにきてさらに強く鮮明に 描き出されているのが「エンジェルハート」。冴羽と香と、グラスハートを 親子にさせたことで、それがはっきりと理解できた。
 「シティーハンター」の時に 比べてアクションシーンが少ないが、その分、人間ドラマに焦点を絞っている。
 ここまで深く捉えて描こうとする北条さんの姿勢には、ある意味執念すら 感じるものがある。
 冴羽さんと、想いだけになってしまった香さんとの関係が、 痛くなるほどに切なくて悲しくなってくるのだけれど、その間に位置するグラスハートの 存在が、ホッと胸を熱く安堵させる。全く血のつながりのない、まして実体のない 母親と3人の親子・・・究極の、絆とは、親子とは何かを問いかける想いがそこにある。
 命の大切さだとか、生きるということはどういうことなのか。もちろん、 この作品はエンターテイメントとして十分楽しめるから、あまり堅く考えなくて いいのだけれど。知らないうちに、そういったことを教えてくれる作品だ。
 もちろん、前作の「シティーハンター」を知らなくても十分楽しめる作品、 ぜひぜひ、読んで頂きたいものだ。
 ・・・余談だけれども。
 このTVアニメ「エンジェルハート」は、作画は・・・賛否両論あると思います(^^;)
 もともと、北条さんの絵はアニメには起こしにくい。でも絵はかなりクオリティーが 高いから綺麗だし、原作に近いとは思うのだけれども・・・。
 「アニメには起こしにくい」と言ったのは、アニメ向きの絵ではない、ということ。 人物描写をしっかり描かれる方だから、「絵」として成立しちゃってるわけ。
 その「絵」を動かそうと思ったら・・・なかなか、難しいものがあると思います(^^;)
 でも、私としてはうまくアニメに起こせているほうだと思うのだけれどなぁ・・・。 ファンの間では、賛否両論が渦巻いているようでございます(笑)。
 今後、この「エンジェルハート」がどのように物語を完結させていくのか・・・ 静かに、でも熱く見守っていきたいと思う。

※ 冴羽撩と表記してますが、「リョウ」の字は本当は違います(^^;) 常用漢字では ないので、表示されないのです。あしからず〜(^^;)