めにゅ〜へ戻る(笑)!

8月7日(月)   山田章博展 − 幻想空間へのいざない −

 高知県高知市にある、「文化交流プラザ かるぽーと」にて、7月15日から 「山田章博展 − 幻想空間へのいざない −」が開催中だ。期間は前期・後期を合わせて 9月24日まで。  山田章博さんは高知県の出身だ。18歳まで過ごされたらしい。大阪での大学時代に 同人誌に参加、そこからプロへの道が広がっていったようである。
 活躍されている場は広い。小説の挿絵、ゲーム・映画の設定、漫画、イラスト・・・ 分野が広すぎて収拾がつかないほどだ。イラストレーター、あるいは 漫画家、どちらでもあると言えるだろう。
 独創的な線画は、一度見たら忘れられない。私にとって「山田章博」をしっかりと 認識したのは、「ロードス島戦記 ファリスの聖女」だ。古本屋さんで見つけたその一冊で、 ものすごい衝撃を受けたことを良く覚えている。
 その本を見つけた当時、私は「ロードス島戦記」の熱狂的なファンだった(あ、今でもね・笑)。恥ずかしい話だが、 ファンクラブにも入っていたほどだ(笑)。
 山田さんが手がけているロードスは、「ロードス島戦記」の中で語られているその前の話、 「ロードス島伝説」に当たる。英雄へと語られていく人物達の、いわば青春時代・・・ 英雄へ語られていくその流れを、まさしく「神話」のように描き上げていたのだった。
 緻密な描写と、リアリティー溢れる魔物達。実在するはずはないというのに、架空の生き物たちが 活き活きと描かれていた。エルフは美しく、ドワーフは強固な意志をみなぎらせ、乙女のその髪は とても麗しく艶やかだ。
 トーンも使わず、ペン一本で描き上げた世界は、私を容易く圧倒させた。
 未完であり、一巻のみしか出版されていなかったのだが、その後角川書店から、 新装版として全2巻にまとめられ、完結された。もともと掲載雑誌に恵まれず、転々と雑誌を 移りながら連載をされていたため、執筆当初から考えればかなりの年月が経過してしまっていた。
 それなのに、全く衰えを見せない線と、変わらないキャラクターの面差し。圧巻だった。
 物語の空気をしっかり捉え、叙事詩としてイラストで歌い上げた・・・そんな作品だ。
 かと思えば、「紅色魔術探偵団」や「おぼろ探偵帖」といった、コミカルな作品もある。 ロードス島戦記は原作者がいたが、これらはオリジナル、山田さんご本人の作品といえる。
 デビュー当初から時折、お目にかかっていた「小悪魔」。名前や姿形が若干変わっていくものの、 役割や演じるキャラはすべてが同じ。老爺と少女(?)と三人で、まるで漫才のように 物語は進んでいく。特に「おぼろ探偵帖」は、舞台が日本・明治〜大正あたりに設定してある だけあって、台詞がなんとなくリズムを刻んでいて読んでいて快い。カラーページもあり、 その鮮やかな色彩には目を見張る。何度も読んでしまった作品の一つだ。
 ゲームの設定や映画の設定など、多くの分野で活躍されているから驚く。 最近ではゲームの設定は減ってしまったとおっしゃっていたが、映画では「SHINOBI」が 記憶に新しく、またアニメでは「ラーゼフォン」「十二国記」が記憶に新しい。
 メディアの力は強い。山田さんのことを知ったファンは、「十二国記」のアニメから入った 方々も多いのだ。ファンとしてはちょっと、心中複雑なところではあるが(笑)、きっかけは 人、それぞれ。ファンになってくれて嬉しいと感じる。
 山田章博さんの最大の特徴は、「作品に合わせて作画を変える」ということだ。
 上記にあげた「ロードス島戦記 ファリスの聖女」と「おぼろ探偵帖」、この2作品を 照らし合わせて見れば良くわかるが、絵の印象が全く違う。ペンタッチをガラリと変えて しまうのだ。
 展示会では、小説の表紙や挿絵などもあったが、中には点画で描かれているものもあって 驚いた。そういった類のイラストはあまり、お目にかかったことがないからだ。逆に、 滅多とトーンを使わない方なのに、珍しく使っていたりとか・・・様々な発見があった。
 左右、隣同士並んでいるのにこんなに絵が違う・・・と、驚くばかりだったのだ。
 ゲームや映画・アニメの設定などは、その細かさにビックリだ。真ん中にキャラを描き、 周りの余白に小さな字でビッシリと、イメージすることを書き込まれているのである。 1枚じゃ足らないんじゃ!?というくらいに書き込まれている。熱意が伝わってくるようで、 仕事、一つずつにどれだけ真剣に取り組んでいらっしゃるのかをうかがい知ることができた。
 ・・・下絵の完成度にも舌を巻いたが(笑)。これでも十分、製本にしちゃってもいいんじゃ!? てなくらいに!!
 どれを見ても、完成度の高さに目眩がしそうだった。
 生の原稿に、ついつい見とれてしまった。
 こんなに一度に拝見できて本当に、幸せだった。
 もっとも・・・山田さんが手がけてこられた作品数に比べれば、ほんの一握りにすぎない のだけれども(笑)。
 後期が始まったら、またいかなければ。
 山田さんの作品は、一度見たら忘れられない。誰もが虜にされる・・・ そんな、魅惑的な作品達である。
 ご本人さんは、とても華奢で小柄な方なんだけれど・・・その手から作品が 生み出されているのかと思うと感動する。
 今後も、ご無理をなさらず頑張って頂きたい。心から、応援しています・・・!