[ 表紙      3 ]



 鼻歌交じりに湯から上がると寝間着に袖を通し、上気分で剣心の部屋の障子を開けた。
 「お・・・」
 漆黒の、溶けた闇を払うように行灯の明かりがぼうと灯っていた。儚くも淡い光の中に浮き上がるのは、一式の褥。しかも・・・
 枕が二つ。
 「うわ〜・・・」
 ペタリと視界を手のひらで覆って、深呼吸。・・・身震いがした。
 「本当、こいつは・・・なぁ・・・」
 柄にもなく、胸が高鳴ってくる。同時ににやける顔はとうとう、収拾がつかなくなってきた。
 「あいつ・・・なんだかんだ言って、二人きりになって一番喜んでンのは自分なんじゃ・・・」
 褥にでんっと腰を落として胡座を掻き、二つ並んだ枕を眺めては一人、薄く笑い声を響かせるさまは些か不気味だが、当の本人はまったくそのことに気づかない。心が弾む、血がたぎる。
 「こんな気分になるのは・・・初めてだなぁ・・・」
 クックックッと笑っていると、すぅと障子が開いた。
 視線を上げれば、剣心が小さな盆を手に立っている。中で胡座を掻いている左之助を認めて、苦笑をこぼした。
 「待たせたか? 左之」
 「いや。今、上がったところでェ」
 「それならば良いが。雨戸を閉めてから熱燗をつけていたからなぁ。少々、時間がかかってな」
 トンと障子を閉めると、剣心は左之助の傍らへと腰を落とした。
 「良い加減だとは思うのだが・・・一献、左之」
 「おぅ」
 手にした湯のみに酒が注がれる・・・左之助は一気に飲み干した。
 「うまい」
 にっこりと笑った彼に、剣心の顔もほころぶ。
 「そうか、それはよかった」
 「ほら、剣心もやれよ」
 自分が飲み干した湯のみを剣心へと手渡し、酒を注いだ。
 左之助へ一つ視線を流すと剣心、クイッと飲み干した。
 「うまい」
 「ハハ、おめェがつけたんだぜ、うまいに決まっている」
 「それはまた、口が上手い」
 「馬鹿言え、本当のこった」
 互いに差しつ、差されつを繰り返す。静寂の中で、無言のまま。微笑を面差しに浮かばせて・・・。
 ・・・やがて、
 「空・・・か」
 一本目の銚子が最後の一滴を落とした。左之助は二本目に手を伸ばし、おもむろにこんなことを言った。
 「今日のおめェは・・・何だか妙だな」
 「妙・・・とは?」
 「ン・・・素直というか、なんというか・・・俺にもよく、わからねェんだが」
 「左之。拙者、些か酔ったようだ」
 彼の言葉には答えることなく、剣心はそんなことを言った。ちょっと言葉に詰まった彼に、剣心は微笑を浮かべた。
 「左之、飲ませてやろうか」
 「へ?」
 つと剣心は膝立ちになり。左之助の肩へ手を添えて。目の前、酒を一口仰ぐと左之助の頤へと指先添えて。
 「剣・・・」
 薄桃色の唇が。惜しげもなく左之助の唇と重なった。
 「ンぅ・・・」
 左之助が微かに声を洩らすと唇の端、酒の雫がこぼれ落ちた。
 喉が、ゴクリと鳴る。
 「剣・・・心・・・」
 唇が離れていった時・・・左之助は、陶然とした面差しで彼の名を口にした。
 「お主は・・・拙者を妙だと、言ったな」
 左之助の唇を伝う酒を指先に取り、ぺろりと舐めて・・・剣心はクタと崩れて彼の胸乳に頬を埋める。
 「拙者もそう思う。なぜだか今日は・・・」
 襟元をつかんだ剣心の力が、いつになく儚く・・・指が震えているのを、左之助は知る。
 「・・・左之・・・」
 ・・・ふと。言葉が途切れて無言となり。
 「こんな・・・拙者は、浅ましいと思うか。湧き起こる情に身を任せ、お主に縋ろうとすることは・・・浅ましいことと思うか」
 「おめェがどんな意味合いで、浅ましいなんて言葉を使うのか知らねェが」
 緋色の髪を束ねる紐に、指をかけ。滑り落とすように解くと、左之助の腕が紅く染まった。流れる髪の感触に快さを覚えつつ、彼の指が次なる標的、ゆるく開かれている懐へと伸びていく。
 「今のおめェが浅ましいとは思わねェよ。ただそれは・・・おめェが素直になっただけのことなんだろ?」
 「左之・・・」
 「おめェが俺に惚れてる・・・その想いを素直に出した姿、そうだよな?」
 「左・・・」
 「濡れた目ェ、しやがって・・・そいつは欲に濡れるってェんだ」
 「!」
 「剣心・・・」
 裾を割り、内股へ手のひらを這わせると、剣心は微かに悶えて弛緩した。右腕に落ちてきた剣心を、左之助は優しい笑顔で迎え入れる。
 「・・・おめェも、限界じゃねェのか」
 懐の奥、そろりそろりと指を落としていくと、湯上がりの肌は適度な柔らかを保って彼を迎えた。吸い付くような、張り付くような感触に、左之助の理性は熱く揺らぐ。
 「俺ァもう、風呂からこっち、身体も気持ちも限界なんでェ。おめェが欲しくって欲しくって・・・」
 次第に胸元をくつろげられて薄灯りの中、白い柔肌が開花していく。剣心の耳朶に、左之助のため息が掠めた。
 「何だか・・・こんなおめェを拝めることがもったいなくてよ・・・夢なんじゃねェかって思えるくらいだ・・・まさかおめェ、俺をこんなに喜ばせておいて、明日の朝にはハイ、さよなら・・・なんてことはねェだろな・・・?」
 肌を戦慄かせたまま、剣心は何も言わない。少しずつ侵食を始めた左之助の手のひらが、剣心の理性を穿ちつつあったのだ。
 「そ、んなことは・・・せぬよ・・・」
 「本当か? もしそんなことをしてみやがれ、俺ァ許さねェ。おめェは俺のモンだからな」
 「左・・・」
 「・・・今度は俺が酒を飲ませてやる。固めの杯だと思いな、剣心」
 近くにあった銚子を手にとって一口あおると、左之助は剣心の唇を奪い取った。
 「ン・・・」
 白い喉仏が小さく鳴って、流し込まれたものをコクリと飲み干す。それは今まで味わったことのない、極上の酒で・・・
 唇を離され、ゆるりと目を開いた剣心が見たものは、嬉しそうに微笑む左之助の面差しだった。
 「これでおめェは俺のモンだ。誰にも文句は言わさねェ」
 「左之・・・」
 「俺のモンだ、剣心・・・」
 唇がそっと触れ合い・・・合わさる。
 少し、酒の香りが漂った。
 甘く余韻の残る、綿のような柔らかさが互いを夜の夢へと連れ立っていく・・・
 「ふ、んぅ」
 交わされる吐息、絡む舌先・・・
 熱と・・・炎が、身体の奥深くにジリリと灯る。
 「ん・・・ン、ぁ」
 「・・・剣・・・」
 隙間を縫うようにして洩れてくる声を、拾うようにして唇が塞ぎあう。わずかに離れてはまた重ね、重ねてはわずかに離して・・・
 息づかいが、刻々と湿り気を帯びてくる。
 「あ、あぁ、左之、左・・・」
 胡座を掻いた男の中で、横たわった裸体が色を変えていく。
 片腕一本、胸乳を露わにされて荒々しくまさぐられて。つい、唇を離して剣心は、その腕を止めようとした。
 「そ、そんなに・・・」
 だが、左之助の動きは止まらない。滑らかな絹の上を這うようにして撫でる。
 「そんなに、何だ?」
 左之助の声が掠れている。
 「ここは・・・いい感じになってンぜ・・・いいンだろ・・・」
 胸乳の蕾を指先で摘むと、絹の肌が粟立った。
 「ほぉら・・・身体は正直だぜ・・・」
 「あぁ・・・」
 「見ればわかる。ここだって・・・きつそうじゃねぇか」
 ツツ・・・と指先を下腹部へと落として。彼が何を言おうとしているのかを気取った剣心は、顔を赤らめて目を伏せた。
 「見ても・・・いいよな」
 「左・・・!」
 「それとも下帯・・・自分で外すか・・・?」
 「!」
 激しく頭を振った剣心を、左之助は快さそうに笑い声を上げる。
 「恥ずかしがるなよォ、剣心。俺が外してやっからよ」
 何かを言いかけた剣心を、けれども左之助は己が唇で塞いでしまう。巧みに舌先を絡めていきながら、下腹部では手慣れた動作で下帯がシュルシュルと外されてしまう。
 剣心が戸惑いの声を上げるまでもなく、脚を摺り合わせた甲斐もなく、すっかり露わにされてしまったそこは、既に充分の潤いを宿していた。
 「へぇ・・・こいつァ、驚いたぜ・・・」
 「あ、あぁ・・・」
 左之助の眼下にさらされたことへの羞恥に、腕の中で弛緩している剣心はもはや、隠す術もない。己が過敏な反応に恨めしさを覚えた。
 「見るな・・・!」
 「見るな? こんなに立派なモンをさらに立派にさせてンのに・・・見なかったら、勿体ねェ・・・」
 「嫌だ、嫌、左之・・・!」
 「クックックッ・・・たまらねェなぁ、剣心・・・」
 肩を揺らして笑う左之助が、剣心には邪神に見えた。ドクドクと大きく脈打ち始めた己が血潮を鮮明に感じながら、左之助から目が離せないでいる。
 「そうして恥じらうのもたまらねェが・・・俺ァ限界なんでェ、剣心」
 胡座を掻いた脚の間。裾が大きく左右へ割られたその隙間。左之助は剣心の手を取るなり、グッと奥へと差し込んでしまった。
 「あ・・・」
 手のひらに当たった灼熱の塊に、剣心の指先は怖じ気づいたように引っ込んでしまう。左之助はニヤリと笑った。
 「な・・・すごいだろ。おめェに触れただけでこんなになりやがった・・・。早く、中に入りてェって喚いてやがるのよ」
 「左、ぁ・・・」
 「・・・もっと触ってくれても、いいんだぜ」
 離したいと思うのに、離せない・・・離れない。裾の奥で息づく塊を、剣心は怖々と撫で上げた。
 「う・・・剣・・・」
 「左之・・・?」
 「もっと・・・なぁ、触ってくれよぉ・・・」
 「馬、鹿・・・そんなこと・・・!」
 自分がしている行為をふと認識してしまって、剣心は慌てて手を離そうとした。が、左之助は許さない。彼の手を握り取ると、無言で押さえ込んだ。
 「あ・・・」
 「剣心・・・」
 声がうわずっていた。瞳が剣心を見据えている。
 剣心は生唾を飲み込み・・・左之助の眼差しに引き込まれるように、ゆるゆると・・・指を動かした。塊に触れて、撫でて、握り・・・
 「あ、うぅ・・・」
 左之助の唇からあえやかな声。揺らぐ息づかいが、彼の高ぶりを知らしめる。
 「剣、心・・・ぁ・・・」
 「左之・・・左、之・・・? いい・・・のか・・・?」
 目の前で歪んでいく左之助の面差しを、剣心は微睡むようにして見つめた。自分の手の中に左之助がいる・・・指先、一つで・・・
 「左之、左之・・・すごく・・・熱い・・・」
 「はぁ、は、あぁ・・・剣心・・・」
 左之助の、快さに濡れた声が剣心の耳朶をくすぐる。その声音は剣心自身をも染め上げ、伝染していく・・・
 「あぁ、左之・・・」
 はだけた逞しい胸乳へ唇を寄せて、思わず強く吸い上げる。淡く・・・紅い花が一つ咲き。
 「・・・いい・・・色・・・」
 陶然と呟いて、剣心はその花を舐めた。
 「剣心・・・おめェのも・・・」
 左之助の手のひらが、剣心の脚の奥へと入り込む。息づく高ぶりが捉えられて、剣心は嬌声を迸らせた。
 「ひゃっ、ああぁ・・・!」
 「ハハ・・・たまらねェ・・・剣心、こんなにしやがってよ・・・」
 包まれた高ぶりは、彼の指先をぬめらせる。濡れそぼった手のひらは滑り、剣心を弄んだ。
 「あ、あぁ、ン・・・ふぅ・・・左ぁ・・・」
 「剣・・・心・・・く、あぁ・・・」
 互いに、
 瞳で舐めあう。
 互いに、
 吐息を混ぜあう。
 剣心は襟を握って時折、身を縋らせてよがり、悶え・・・甘く呼んだ。
 「左ぁ、之・・・ぉ・・・」
 呼ばれた左之助は満足そうに笑う。首筋に淡く、汗を滲ませて。
 「あぁ・・・俺ァもう・・・我慢できねェ・・・!」
 「あ・・・!」
 画然、褥の上へと剣心は転がされた。俯せにされ、腰を高く掲げられる。
 「左、左之・・・?」
 「一度・・・こうして、陽の光の中でおめェを抱いてみてェなぁ・・・」
 剣心の寝間着、裾を握ってふわりと捲る。橙に染まる白い臀部が外気に触れ、一瞬粟立つのが見えた。
 「嫌・・・!」
 「おめェはさっきから嫌だの駄目だの、そんなのばっかりだなぁ。もっと・・・いい声を聞かせてくれよ・・・」
 剣心は褥に面差しを突っ伏したまま、頭を振った。そんなこと、言えるわけがない! 指と指の間に敷布を握り込んで、剣心は吐息を殺す。
 「陽の光に浴びせたら・・・きっと綺麗だろうよ。こうして・・・一度でいい、着物を乱れさせて・・・はだけさせた姿でおめェを抱きてェ・・・穿ちてェ・・・」
 節くれ立った指が、臀部を這う。息づく花に触れると、にゅぅと中へと入り込んだ。
 「ひ、ぁ・・・!」
 「柔らけぇ・・・熱い・・・いいよな、剣心・・・?」
 掠れた声で言ったそれは、濡れたように潤んでいた。

 嵐が、くる。

 剣心が目を閉じ、唇を噛んだ瞬間のことだった。
 「・・・! ぁ、あぁ・・・!」
 身体の内部、深くにまで侵食してくる異物。つい腰を退きそうになったところを、左之助の両腕が押さえ込んだ。強く抱きかかえられてさらに、突き込まれてくる。
 ブルブルと、身体が震えた。
 「剣・・・! キツイ・・・!」
 背後で左之助の、息を詰めるような声がした。けれどもそれもごくわずか・・・すぐに、喜びに染まる声が響いた。
 「あぁ・・・入った・・・久しぶりに、味わうぜェ・・・おめェの身体ァ・・・なぁ、剣心・・・?」
 身体を折り曲げて、左之助は剣心を抱きすくめる。そっと・・・愛おしむように。
 「左、之・・・左之・・・!」
 「きっちり、食いついて・・・離れねぇや・・・ハハ・・・いいぜェ・・・」
 「はぁ、ぅ、左・・・」
 「遠慮はいらねェ、思い切り・・・鳴けよぉ、剣心・・・!」
 「あ・・・!」
 意識が遠のく。
 荒ぶる鼓動が聞こえる。
 たちまち押し寄せ始めた快楽の波が、身も心も、何もかもをさらっていこうとする。
 剣心は、褥を握りしめて離さない。
 唇が、ぷっつり割れた。
 「あっ、あっ、あぁ、左、之ぉ・・・左ぁ・・・!」
 「剣心・・・! すげェ・・・食いちぎられそうだ・・・!」
 「ふぅん、ぁ、あぅ・・・」
 両肘を立てて、剣心は上体を起こそうとした。だが、左之助の猛威は激しくて力が入らない。わずかに身を起こせはしたものの、だらしなく開かれた唇から、唾液が滴り落ちた。
 「左之、左、之ぉ! ひゃぁ、ん、うぁ」
 赤毛が舞う、空を舞い散る。
 肌は朱に染まり、強張りを解いて。
 肌は涙を滲ませ始め、ついに・・・歓喜にむせぶ。
 十色に変わる裸体を、左之助は満足そうに眺めていた。
 「良さそうじゃねぇか・・・え? 剣心・・・たまらねェんだろう・・・?」
 腰を揺さぶり、蠢かせながら左之助は、艶然と笑って囁いた。
 剣心は恍惚とした面差しを浮かべる。
 「左之ぉ・・・も・・・と、もっと・・・」
 「いくらでもいいぜ。欲しがるだけくれてやるぜェ、剣心・・・!」
 「左、あ、あああぁ・・・!」
 刹那、白熱した意識が弾け飛んだ。身体が、落ちていく・・・
 そんな、崩れ落ちていく肢体を瞳孔に焼き付けながら・・・
 「剣心・・・!」
 ぶる、と身体が震えた。意識が不明瞭になって左之助、彼の上へと崩れ落ちていった。
 「・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 乱れた呼吸が室内に溶けていくが、左之助にはそんなものは聞こえていない。
 剣心を仰向かせるなり唇を重ね、
 「夜は長いぜ、剣心・・・」
 「・・・え・・・?」
 「まだまだ・・・まだ、足りねェ・・・欲しい・・・おめェが欲しくって、止まらねェ・・・」
 「・・・!」
 「休ませねェよ、剣心」
 額にびっしりと汗を滲ませて笑った左之助に、剣心は全身を凌駕した悪寒をどうすることもできなかった。
 何という激しさ・・・!
 底なしの絶倫は承知のことではあったが、今宵はいつにも増して激しいように思える。
 剣心は視界を拒むようにして軽く目を閉じ、
 「・・・熱い、左之・・・熱くて、燃えて、死んでしまいそうだ・・・」
 「おめェが悪いんだ、可愛いところばっかり俺に見せやがるから」
 「え・・・?」
 「・・・狂っちまったのさ、剣心という男によ」
 「な・・・」
 「眠らせねェぜ、今宵はよ。離さねェからな」
 「左、左之・・・!」
 「身体中に俺のものだってェ印を付けてやる。ここにも、ここにも、ここにも・・・」
 剣心の肌を隈無く指で押さえながら、左之助はうっとりと目を細めた。そうとも・・・この男は俺のものだ。誰にも渡さない、誰にも譲れない。こいつは俺のもの・・・!
 「剣心・・・!」
 「あぁ・・・」
 燃え尽きて、なくなってしまうかもしれない・・・
 心底、剣心はそう思った。
 これだけ求められたことが・・・未だかつてあったか、どうか。
 抜刀斎の時代でも、流浪の時代でも。こんなことは決してなかった、一度もなかった。
 それが・・・ここへ流れ着いて、この男に出逢ってからは・・・
 「左之、左之・・・!」
 愛しさが溢れた。
 彼の漆黒の髪の毛に指先を絡め、グッと抱きすくめる。  身も心も、何もかもすべてを受け止めて求めてくれたのはこの男だけだった。
 承知の上で、欲してくれる・・・そのことが、剣心にとっては歓喜の根元。
 この男のためなら・・・左之助のためなら・・・!
 「左之・・・左之、お主が愛しい・・・愛しくてたまらぬよ、左之・・・!」
 左之助の巻き起こす灼熱の嵐に、その言葉も掻き消されていく。
 身も心も焼き尽くす。
 誰も知らない業なる炎・・・
 「左之、左之ぉ・・・あ、ふぅ・・・」
 むせび、よがる剣心の痴態は、左之助に眠り続けていた獣を呼び覚ます。
 「剣心、剣心・・・!」
 高まる体温が天井を知らず、どんどん上昇していく・・・


 刻々と過ぎていく時の中、夜は次第に深みを増していく。
 一寸、一寸と闇を濃くしながら二人を飲み込んでいく。
 別の世界へと・・・別の現実へと誘うかのように。
 心を求め、求められながら絡み合い、睦み合い・・・
 二つの熱を覆い、包み込むように・・・闇は落ちていく。
 幸福な時を、刻み込みながら。




     了


「漆黒の刃」http://www3.to/yaiba

背景画像提供:「 Kigen 」さま http://www.sobunet.co.jp/index.html





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 拝啓

 左之助の誕生日!ということでもあり、またバレンタイン!というわけで・・・
 キーワードは「甘い」(笑)。何が甘いって・・・そう、今回は二人がただただ、 いちゃついているだけ・・・(^▽^;)♪
 ハハハ、これが本当に「山ナシ、落ちナシ、意味ナシ」で「やおい」!(て、オイオイ!・汗)
 とはいえ、久しぶりに「濃い」ものを・・・書いてしまったような・・・(////)
 毎度のことながら、やはり・・・こういったものを公開するのは・・・ 非常に恥ずかしいものでござります(////) ハハハ、何だかなぁ(////)
 それにしても今回は・・・剣心であって剣心ではござらんな〜(笑) やはり、素直すぎる のはちょっと・・・でも、楽しゅうござりました(笑)。
 これで左之助も、幸せになってくれたでござるかな!?
 おめでとうでござるよ、左之助〜(*^^*)♪
 お目汚し、まことにありがとうでござりました! m(_ _)m

〜 「左之剣deオールナイトさま」
     Sanosuke Happy Birthday & Valentine 2004企画部屋へ捧ぐ 〜

 かしこ♪

 04.02.13