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タイトル「その日の、二人」

 眩い日差しが、刺すように痛い。
 半纏など貫いて、肌をジリジリと焼き焦がす。
 恨めしく見上げれば日差しはさらに輝かしいものに見え、左之助は思わず、目を細めた。
 空には雲ひとつなく、どこまでも澄み渡って青色が深く広がっている。
 「暑ィ・・・」
 思わずぼやいたが、それで涼しくなるわけでもない。左之助は小さく舌を打った。
 舎弟の修と飲み明かした付けが回ってきたのだろう。頭が痛くてどうにもならず、身動きできずに破落戸長屋で眠りを貪っていた。が、そのあまりの暑さに目が覚めて以来、眠れなくなってしまった。
 盆を過ぎても、この暑さ。
 蒸し風呂状態の長屋から、彼は追い出されるようにして飛び出したのだった。
 ・・・が。
 飛び出したところで行く宛てもない。
 街中をぶらぶらするが、涼しいところなどどこにもない。
 いい加減、苛々してしまっていた。
 そのさまはどこかの極道者のように見え、道行く人々はそそくさと道を空けていったが、左之助はまったく気がつかない。
 「畜生・・・どこか、涼しいところはねェのかよ・・・」
 長屋は風通しが悪いから駄目なんだと内心で毒づきながら、「惡」一文字の半纏を肩へ引っ掛けて歩みだした。
 ふと・・・脳裏に、あのにこやかな笑顔がよぎる。
 「・・・仕方がねェ。剣心のところにでも行くか」
 ・・・本当はこんな姿を見せたくなくて、今日は顔を出さないつもりでいた。
 けれど・・・結局行ってしまうんだなぁと、我ながら情けなくておかしくて、ついつい苦笑してしまった。
 日差しは刻、一刻と強さを増している。
 本郷の神谷道場は、気配を断っているかのごとく、ひっそりとそこにたたずんでいた。
 数年前まではきっと、竹刀が打ち合う音や掛け声などが絶え間なく響いていたに違いない。しかし明治の世になってからは、剣術を学ぼうという若者は激減し、今では門下生一人という寂しい状況だ。
 だがたとえそうであっても、少しばかり静か過ぎる・・・そう考えて、左之助はふと思い当たる。
 「そうか、今日は出稽古の日か・・・」
 口うるさくも元気いっぱいな、まだあどけなさを残す女性・薫は師範代である。彼女の下に従う未だ十歳の門下生・弥彦は、なんだかんだと口論を繰り広げながらも、師範代の彼女に一目置いていた。
 この二人がそろえば、巣をつつかれた蜂のようにやかましいのだが・・・
 「よかった・・・あいつらがいないなら好都合だ。ゆっくり寝かせてもらおう・・・」
 やれやれと息を吐いて、左之助は裏木戸へと回り込んだ。
 回ってみると案の定、赤毛の優男が井戸から水をくみ上げ、手桶に流し込んでいる。上半身、両袖を抜いているところを見ると、彼もまた暑さに喘ぎながら作業をこなしているようだ。
 風呂に水を張ってンな。
 胸の内で呟いて、左之助は中庭へと身を滑り込ませた。
 「よぉ、剣心」
 赤毛がなびいてくるりと振り返った。
 「左之」






 井戸から水をくみ上げる。
 ざざぁ。
 手桶へと流し込み、さらにまた、井戸から水をくみ上げる。
 ざざぁ。
 水がいっぱいになったところで、ようやく剣心は両手に手桶を握りしめた。
 湯殿に水を張るこの作業が、一番身にこたえる。いったいどれくらい往復を重ねなければならないのかと思うと、心のほうがグッと重くなる。
 一度、往復の回数でも数えてみようかと考えたこともあったが、そんなことをすれば余計に辛さが増すような気がして、やめた。
 今日とて、日差しが強い。
 最初は袖をまくり、たすきがけで頑張っていたのだが、汗が止めどもなく吹き出してしまってどうにもならない。
 これはと思いあまって、とうとう両肩袖を脱いでしまった。
 そんな矢先だ、ある人物の気配を感じ取ったのは。
 ・・・裏木戸からやってくる人物といえば・・・
 すぐに気がついたのだが、あえて気づかぬふりをした。
 気づいてすぐに顔でも上げた日には、奴を喜ばせるだけに過ぎないことを、剣心はよくわかっていた。
 下手に喜ばせては面白くない。
 と、そんなことを考えて、顔を伏せてから軽く口元で笑ってしまった。
 ぎぎぃ、と。裏木戸が軋んだ音を立てた。
 「よぉ、剣心」
 声をかけられたのでようやく、剣心は動きを止めて振り返った。
 「左之」
 彼は自慢の半纏を脱いで、肩にかけていた。やはり暑いと見えて、額のはちまきがまだらに色が変わっているのが見て取れた。
 剣心は握っていた手桶を地面へ置いて、軽く手の甲で額の汗を拭った。
 「今日はやけに遅かったな。昼餉はもうないでござるよ?」
 「かまわねェよ。食欲がねェんだ」
 「おろ。左之助にしては珍しいでござるな」
 「ん・・・ちょいと、その・・・飲みすぎてな」
 「二日酔いでござるか」
 たちまち、左之助の眉間にしわが寄った。言われたくなかったのだろう。
 それを承知で剣心は彼に言ってみたのだが。予想通りの反応を示したものだから、剣心は思わず喉の奥で忍び笑ってしまった。
 左之助は舌を打って顔を背けた。
 「ちょいと寝かせろ。長屋が暑くて寝られねェんだ」
 「あぁ、かまわぬよ。拙者の部屋で寝るといい。この時刻は日陰になるぞ」
 無愛想に、ぶっきらぼうに言い放った彼に剣心はまたしても忍び笑って。再び手桶を握りしめた。
 そうして作業を再開した剣心を、左之助はしばらく眺めていたのだが。ふぅと一つ息を吐くと、言われたとおりに剣心の部屋へ、上がり込んでしまった。






 ばつが悪いったらありゃしねぇ。
 剣心の部屋へと上がりこみながら、左之助はガリガリっと頭を掻いた。
 だから今日は、顔を見せたくなかったんでェ。
 ・・・しかし。
 何があっても・・・何が起こっても、この顔を見に来ないと落ち着かねェのかもしれねェな。
 自分が知らなかった、心の動きをまざまざと見せつけられたようで、左之助は無意識に舌打ちを繰り返してしまう。
 剣心の前では強い男でありたいと思う。
 確かに、この男だけには敵わないのだけれども。
 だが強さ以外では、敵うものなど何もないのだと思い知らせてやりたかった。
 それが信念であれ酒であれ、何であれ。
 「・・・畜生。不覚だぜ」
 ガンガンと痛む頭をさらに自ら小突いて、左之助は情けなくも呻きをもらした。
 やれやれと半纏を隅のほうへ放り投げ、剣心の部屋にてゴロリと横になる。
 彼の室内は殺風景で、調度品がほとんどない。
 ・・・あるのは。
 文机と座布団が一枚、燭台が一つきり。
 そんな部屋の真ん中で、天井を仰いで目を閉じた。
 ・・・視界が閉ざされたゆえだろうか。それまで気にしていなかった些細な物音が・・・
 近所の女性の話し声、暑いさなかを駆け回る幼子達、夏を惜しむ蝉の声・・・
 聞くとはなしに響いてくるそれらの音が、いつしか左之助の脳裏を煩わせるようになった。
 「・・・寝られねェ」
 畳は心地よい、申し分ない。
 むしろ涼しいくらいだ、快い。
 それなのに・・・
 ・・・眠れない。
 「落ちつかねェな」
 なぜだか、居心地が悪い。
 彼は剣心の部屋から縁側へと這い出てみた。
 縁側へ出ると、生ぬるい風が吹き付けてきた。その風に少しばかり辟易したが、試しに縁側へ身を横たえてみると・・・
 「お・・・」
 ひんやりとした感触が背中に触れた。板の間がキシリとかすかな声を上げて、左之助の大きな体を受け入れる。
 その一瞬の、なんともいえぬ感触が、左之助の意識をわずかに奪った。
 「あ〜・・・」
 やっと、格別の寝床を得られたような気がした。
 仰向けになると、吊るされている風鈴が見えた。儚く抜けていく風の姿に、それはチリリンと体を鳴かせる。
 「こいつァ・・・いい、や・・・」
 瞬く間に、こっとり。
 意識は落ちた。






 吹き出た汗を、井戸水に浸して固く絞った手ぬぐいで拭い去り。
 剣心はようやく、着物の袖を通した。
 「ふぅ・・・」
 これでひと段落。
 湯殿に水を張れたことにやれやれと安堵しながら、剣心は井戸の水をひとつ、中庭へと打ち捨てた。
 ふわ・・・と、ほのかな冷気が空に舞い上がる。
 「うん」
 ささやかな満足を覚えて、彼は一人で頷いた。
 あとは、出稽古から帰ってくる薫と弥彦のために、風呂の湯を立てて夕飯を整えれば・・・
 「それまでにはまだ、時間があるな」
 一人ごちて、剣心はつと、左之助の存在を思い出した。
 そういえば奴はどうしただろう、おとなしく部屋で眠っただろうか・・・
 ちょっと気になって振り返ってみれば。
 私室の前の縁側で、彼はゴロリと身を横たえていた。
 「やれやれ・・・」
 あの様子では、すっかり寝入っているようだな。
 剣心は苦笑しながら、彼の元へと歩み寄っていった。
 居心地のよい寝場所を見つけられたらしく、だらしなくもぽかりと口を開けて眠っている。
 縁側の、板の間で身体は痛くないのだろうか、仰向けになって大の字になっている姿はいささか・・・拍子抜けするほどに間抜けだ。
 「まったく、警戒心も何もあったものではないな」
 常日頃、警戒しながら眠ってしまうことが癖になっている自分のことを考えると、彼の無防備な姿には一種、感心させられる。反面、そういった心持ちで眠りを貪れる左之助にうらやましさを覚えてもいた。
 「そこが・・・拙者にはなくて、お主にあるものなのだろうがな」
 縁側へ上がって、左之助の傍らへ腰を下ろし。胡坐を組んで、障子へ背中をもたせる。
 彼は剣心の存在に気づかないらしく、健やかな寝息を立て続けている。
 長いまつげを風に揺らしながら眠るさまは、赤子のように無邪気だ。
 「・・・このままのほうが、いっそ静かでよいのかも」
 起きているときなどは、やれ剣心、あぁしろだの、こうしろだの・・・わがままの言い放題。
 身体ばかりが大きな、幼子のように思える瞬間が多々とあるがその反面、しっかり己を見据えてこれからのことを考えている。芯のある男であることを、きっと・・・自分が一番よく知っているのではないだろうか。
 ・・・少し、高慢かもしれない。
 けれども、彼と深いところでつながっているのは自分しかいないはずだ。
 そう・・・思っていたい、いや、思いたい・・・
 「・・・団扇で扇いでやるか」
 剣心は立ち上がると、私室にある文机から団扇を取り上げて。
 再び左之助の傍らにて胡坐を組むと、ゆるりゆるりと団扇を仰ぎ始めた、彼に向かって。
 柔らかな風は左之助の黒い髪を揺らめかせ・・・ぬるい風とともに吹き抜けていった。






 身体を撫でていく風の存在に、左之助の意識はすぅと舞いあがった。
 あれからどれくらい眠ってしまったのだろう。空はまだ明るい。おそらくは、一刻も眠っていないのではないか。
 つと顔を上げると、微笑を浮かべている剣心がそこにいた。
 「目が覚めたでござるか」
 見ると、剣心の手には団扇が握られていて、ゆぅるりゆるり、左之助へと扇いでいる。
 「おめェ、いつから・・・」
 「さて、いつからでござろうな? よく眠っていたでござるなぁ」
 愉快そうに喉の奥で笑う剣心を、左之助はついつい、じ・・・と見てしまう。
 この男の癖なのだろうか、性分なのだろうか。時として思いがけないほどの細やかな気遣いを見せることがある。
 それは仇となることもあるのだが、こんな時ばかりは左之助、にやける顔を止めることができない。
 「何をにやけているのでござるか、左之」
 「いや? 別に」
 「また、よからぬことでも考えていたのでござろ」
 「何だ、妙な言い方をしやがる。違うよ、そんなことをしねェで、放っておきゃぁいいのにって思ってよ。おめェだって忙しいンだろ」
 身体ごと向き直って腕枕をした左之助に、剣心は団扇の手を止めずに静かに言う。
 「忙しいならこんなことはせぬよ。少し時間ができたからな。それに、あんなに幸せそうな顔で寝ていられたら、放ってはおけん」
 「・・・そうなのか?」
 「あぁ。誰かに締め上げられているかのようにな。それはそれは、幸せそうでござった」
 そう言いながら、時々苦悶に歪んでいた寝顔を思い出して、剣心はとうとう笑い出してしまった。
 彼の笑い声に、左之助もつられて小さく笑ってしまう。
 「ハハ・・・そうかよ、参ったな・・・だから今日は、おめェんとこには来たくなかったんでェ」
 「おろ?」
 「こんな間抜けた姿、さらしたくなくってよォ・・・。本当は顔を出すまいかと思ってたんだが・・・やっぱ、ここへ来ちまった」
 照れくさそうに頭を掻く左之助に、剣心はそっと尋ねた。
 「どうだ、頭の痛みは」
 「あぁ、もうどうってことねェよ」
 「そうか・・・」
 ホッとしたように吐息をついたその面差しと一言が、なぜかしら左之助の心に沁みた・・・
 「・・・剣心」
 「ん?」
 「正座しろよ」
 突然の発言に、剣心はいぶかしむ。
 「何でござるか、藪から棒に」
 「いいから」
 苦笑をこぼしたが剣心は無言のまま、胡坐をかいていた膝を正した。
 その膝へと左之助は擦り寄るなりコロリ、頭を転がせる。
 「・・・それが、狙いだったのでござるな」
 頭上からため息をこぼした剣心に、
 「わかってたんじゃねェのか」
 ニヤリと笑う左之助。
 「ま、ある程度はな」
 「なんだよ、そのある程度ってのは」
 「ふふ・・・気にするな」
 薄く笑いをこぼして、剣心は団扇で扇ぎ始める・・・左之助の身体へと。
 その緩やかな風が心地よくて、左之助はしばし、目を閉じた。
 剣心の膝のぬくもり、ほどよい柔らかさ・・・縁側の陰に、団扇の風。
 長屋のせんべい布団とは比べ物にならない。
 こんなに居心地のいい場所があったんだなぁと、左之助はまどろんでしまう。
 「剣心・・・」
 薄く目を開くと、彼の袴の紐が・・・結び目が見えた。さらに顔を寄せて、気づかれないように肺いっぱいに息を吸い込む。
 剣心の匂いが身体中に染みこんだ。

 ・・・もっと・・・

 左之助の右腕が伸びて、剣心の腰部に絡む。絡んで・・・手のひらが滑り落ちていく。
 「・・・左之」
 「ん・・・」
 「どこを触っているのでござるか」
 「尻」
 目を閉じたまま、はっきりそう答えた左之助に、剣心は小声ながらはっきり断言する。
 「駄目でござるよ、昼間から」
 「いいだろ、ちょっとくらい。減るもんじゃねェし」
 「お主の場合、それだけでは済まされぬから言っているのでござる」
 「へぇ? そいつはどんなことなんでェ」
 剣心は答えなかった。ただじっと、息を詰めているのが気配でわかった。
 「・・・とにかく、昼間からは駄目でござる」
 「何が」
 「やらせぬよ」
 さらりと言ってのけた剣心の声音を頭上で聞きつつ、されど左之助の心にはムクムクと衝動が沸き起こる。
 「何をやらせねぇって?」
 「だから・・・、」
 剣心の言葉が潰えた。きゅっと唇を噛み締めた気配が、左之助に伝わる。
 左之助は膝枕をしていることを幸い、面差しを大腿の奥深くへと埋めてゆっくり、息を吹きかけたのだった。
 彼の生温かな吐息は生地を抜けて、剣心の肌に・・・下腹部へと伝わる。左之助はさらに息を吹きかけながら、袴の帯をほどき・・・単衣の折り目を唇でまさぐりながら、深淵へと潜り込もうとしていく。
 「左・・・」
 いつのまにか、握られていた団扇は落とされていて。
 細い指先が、左之助の髪の毛をしっかり捉えていて。
 それは引き剥がそうとしているのか、あるいは押し付けようとしているのか・・・
 判然とせぬまま闇雲に、左之助の頭を撫で回していた。
 ・・・財宝を探し当てるように、左之助の唇は。ありとあらゆるところをまさぐりながらようやく、その一点を見出す。熟しきったように膨らんでいるそれを、下帯の上から舌を這わせた。
 「くっ・・・」
 声を押し殺し、剣心の身体はわななく。瞳すら閉じて何かを必死に耐え抜こうとしている彼に、左之助の冷然とした声音が沁みた。
 「脚、開けよ」
 閉じていた瞳が開いて左之助を見た。薄く潤んでいるのが見て取れたが、奥深くに示されているのは確固たる意志。頬を淡く朱に染めながらも、剣心ははっきりと言ってのけた。
 「嫌でござる」
 「強情だなぁ・・・」
 「言ったでござろ、やらせぬと」
 「身体は、正直みたいだぜ?」
 左之助の鼻先が、水に濡れたように艶を含んだ下帯をそっと掻き上げた。
 剣心の息がわずかに止まり、キッと左之助を睨み据える。
 「怖ェなぁ、剣心。だが、それで引き下がる俺でないことも、おめェはよく知っているはずだぜ」
 ・・・確かに。
 もはや、この状況下に置かれてしまっては、いわゆる「邪魔者」が出てこない限り、彼は思いを遂げるだろう。
 漆黒の瞳に渦巻く、情欲の炎。蒼くも熱く・・・冷めることも、消えることもない・・・
 もう、止められない。
 だが、このまま素直に応じるというのも・・・
 ・・・ならば。
 「・・・左之」
 「なんでェ」
 「条件がある」
 「言ってみろ」
 「手早く済ませろ」
 「おぅ」
 「済んだら、風呂を立てろ」
 「おぅ」
 「洗濯物を取り込め」
 「おぅ」
 「夕餉の支度を手伝え」
 「おぅ」
 「それから・・・」
 「まだあるのか?」
 「嫌か?」
 間髪置かずの切り返しに、思わず左之助は閉口してしまった。
 もしかしてこれは・・・一本取られたか・・・?
 だがたとえそうだとしても・・・もう、呑むしかない。
 身体は既に、熱を孕みつつある。
 引き下がることはできないのだ。
 左之助、腹を括った。
 「いや、いいよ。言ってみな」
 こいつはどうやら高い代償がつきそうだ。だがそういうつもりなら・・・と、左之助は胸の内でほくそ笑んだ。

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