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〜 宵 〜


 銚子の一本、空けてしまった頃。
 スッ。
 襖が開いた。
 相変わらず、気配を悟らせない。
 「・・・帰ったかい」
 男の言葉に、優男はうなずく。
 浴衣に着替えてはいたが、やはり逆刃を手放すことはなかった。
 浴衣に刀とは一風変わった姿だが、妙に似合っているのは何故だろう。
 紺色の浴衣に、白磁の細い腕が伸びている。
 着付けはやはりゆるく、胸元は当然の如く外界へさらされ。

 冷えた空気の中へゆっくり、湯気が立ち上っているのが見えた。

 瞳が。
 男を捉えた。

 ・・・無表情。

 「左之、湯を浴びてこい。良い湯加減でござるよ」
 「・・・おぅ」

 あれほどの苛立ちが嘘のように。
 優男の姿を目にした途端に掻き失せて。
 彼の言葉にフラフラっ、
 長身の男は素直に、立ち上がってしまった。

 この反応に驚いたのは長身の男、自身だ。

 何をやっているんだ、俺はッ?
 言いたいことがあったはず、だろ・・・?

 襖に手をかけて。
 出ていこうとした、一寸。

 「・・・剣心」
 「何でござる」
 「・・・浴衣姿、絶品だな」

 ピシャンっ

 襖は閉じられた。

 「なっ・・・何を俺はッ。あんなことを言うはずじゃなかっただろうがッ!」
 部屋を出て画然、男は自らに罵声を浴びせた。

 どこからあんな台詞が飛び出してくる?
 あんなことを、思っていたか?
 いや・・・思っていたはずだ。思っていなければ、口から出てくるはずがない。
 そうすると・・・

 「それほど、あの姿に見惚れちまったってことか。妙な空気、漂わせてたもンなぁ・・・」
 悪い夢を見ているようだと、男は小さなため息を吐いた。

 ・・・俺らしくもねぇ。
 剣心に振り回されることなんざ・・・あったかもしれないが、ここまで酷くはなかった。
 何が、俺を狂わせている・・・?

 幾度となく頭を振りながら、男はまっすぐに、湯殿へと向かっていった。






 「ぁっ、あ・・・!」

 長身の男が出ていった、直後。
 優男は畳の上へと崩れ込んでいた。

 立っていることが、精一杯だった。
 表情を繕うことで、精一杯だった。
 もう・・・もう、これ以上は・・・ッ。

 「己を、偽り切れぬ・・・ッ」

 胸が、掻きむしられるように辛く、苦しい。

 何度も何度も胸を擦って洗ったが、この辛苦をもぎ取ることなどできなかった。

 肌をすり切れるほど洗ったというのに、奴のことを思うたびに全身が粟立った。

 どうすることも、できない。

 「あぁ・・・左之・・・っ」

 一人きりの部屋。
 凍った空間。
 誰も・・・気配すらない・・・
 独り、きり。

 独りだ。

 「左之、左之・・・っ」

 止まらない、こぼれる。
 たった一人の名前があふれ出てきて止まらない。

 「おかしい・・・拙者はおかしいっ。こんな・・・こんなになるなどと・・・ッ」

 ・・・いや。
 何が引き金なのか、既に露呈していた。

 わかっていた、だからといって。
 どうすることも叶わない。

 理性と感情は別物。別の生物。
 否、今日ほど、理性と感情が同調したことはないだろう。
 理性と感情と、肉体が同調したことなど。
 だから・・・意識だけ残ってしまって制御できない。

 「わかっている」などと、嘘だ。
 「わかっている」のは意識だけ。
 理性は、感情は、肉体は、別のことを「わかっている」。

 「拙者は・・・それらに逆らえぬ・・・いや、従いたい・・・」

 鳴り響く、心の臓。

 今にも胸を割り開いて飛び出してきそうなほどに。

 「あぁ、辛い・・・! 早く・・・早く、左之・・・帰ってこいっ」

 自分から部屋を追い出しておいて、身勝手な言葉だと思う。
 そもそも、なにゆえ追い出さねばならなかった?
 追い出す理由があったのだろうか?

 「それは・・・」

 ・・・思い出した。

 夕餉の支度をしながら、考えに考え抜いたこと。
 今宵のこの企てを、考えに考え抜いた、その結論。

 「拙者の・・・最後の意識を、振りほどくため・・・ッ」

 優男の視界に、残されていた銚子の姿。
 瞳が。
 妖しげに揺らめいた。






 酒を飲んでの、湯。
 長居が出来るはずがない。
 のぼせることなど一目瞭然だというのに・・・。
 「わかって言ってたんだよなぁ、剣心は」
 本当に何を考えているのかわからない。
 たかが銚子の一本、されど、血潮は沸き立つ。・・・侮れない。
 「ま、約束は守ったんだ。すぐに出ちまってイイよな」
 軽く背中を流し、清めるに留めて長身の男、浴衣へと袖を通した。
 優男の様子が普段と違うことにいささか心を乱したが、彼と二人だけで旅籠に来たのは初めてである。成り行きはともかく、彼の心は弾んでいた。
 鼻歌混じりにいそいそと部屋へ向かう。
 その姿、愛しい女のもとへ身を寄せる一歩手前である。
 と、行き過ぎる客人達は一様に、脳裏へよぎらせたに違いない。
 無論、それらの予測に間違いはないのだが。

 男の胸は、部屋へ近づき・・・襖を開けた刹那に絶頂を迎える。

 「剣心っ」

 声を弾ませ、中に居るはずの愛しい人へ声をかける。
 旅籠へ来たときの苛立ちはどこへやら、今ではすっかり、優男とのこれからのことしか頭にない。
 「・・・剣心?」
 ふと。
 異変を覚えて男の声音が濁った。

 行燈の明かりに目が慣れるまでしばし。

 ゆっくりと視界の中へ広がっていく部屋の様子に、男は目を見張ってしまった。
 「け・・・剣心ッ?」
 優男が。畳の上に横たわっていた。
 赤毛を束ねずそのまま、布団も自ら敷いたのだろうがものの見事、外れている。
 しかも。
 乱雑に横たわっている銚子の数に、男は慌てて拾い上げるなり驚きの声を上げた。
 「な、なんだぁッ?」
 女将の運んだ銚子は全部で六本。そのうちの一本は男がきれいに飲み干している。
 残っているはずの銚子五本、きれいさっぱり、もぬけの空。
 おまけに。
 追加注文をしたのだろう、
 その存在をまざまざと見せつけるようにして徳利が一本、野太い身体をゴロリと横たわらせているではないか。
 まさかと思いつつ男、おもむろに徳利に手を伸ばす。
 ・・・軽い。
 逆さまにしてみる。
 ・・・一滴たりとて、こぼれてこぬ。

 ・・・即ち。

 「おい、剣心!」
 狼狽し、男は彼を抱き起こした。
 「・・・んっ・・・」
 微かな呻きをあげるが、瞼は閉じ合わさったまま。
 全身が紅潮し、夥しい熱を孕んでいる。
 「おッ、おめぇ、一気に一人で飲んじまったなッ?」
 「・・・あ・・・左之・・・?」
 強靱な腕の中、赤毛の男はゆるりと瞼を開いた。
 視点が定まらないのか、しばしたゆたうように瞳が揺れて・・・
 「あぁ・・・左之・・・本物の、左之だ・・・」
 「剣心・・・?」
 あたかも寝言のような儚さに、男は得も言われぬ胸騒ぎを覚えた。
 が、彼の心中存ずることなく、優男は彼にゆるく微笑を浮かべた。
 「待ち焦がれた・・・左之・・・左之だ・・・」
 ほっそりとした両腕が。両手が。男の頬へと伸ばされた。
 雫を滲ませた、潤んだ瞳。
 男は、優男のそんな瞳に心を奪われてしまい。
 伸ばされた両手の存在を感知できず・・・
 「あぁ、左之・・・っ」
 感極まったような、それでいて小さな声音が耳朶をさやかに貫いた時。
 優男、男の唇を塞いでいた。
 「ん、ぅッ?」
 男は戸惑ってばかり。
 思わず口づけに応えてしまいながらも不安を隠しきれない。
 が。
 彼の、貪るような・・・激しい口づけは、たちまちにして男の意識を攪乱させた。
 閉じることすら忘れていた瞳が。視界が・・・揺らいだのを男は認識する。
 「左、之・・・ぁ・・・」

 ようやく唇が離されると。
 頬を朱に染め抜いた優男の面差しがあった。

 赤毛が両肩を潤し、前髪などはゆるく瞼を陰らせている。

 今の今まで重なっていた唇、にわかに厚みを増して少しく、白い歯をこぼし。

 男は。

 胸が早鐘を打ち始めたことに気づかない。

 「左之、左之・・・」
 優男は、一途に彼の名だけを口にした。紡ぎ続けた。
 そうすることで何かを得るように、何かを求めるように。
 唯一であるかのように。
 何度も繰り返し名を呼びながら、優男は男の右手を取った。
 「剣心・・・?」
 呆然と、成すがままにされている長身の男。
 「左之・・・あぁ早く、この手で・・・」
 コクリ、細い喉が音を鳴らす。
 「拙者を・・・拙者を、嬲ってくれ・・・早く・・・っ」
 言い様に男の右手、自ら懐の奥深く突き入れてしまった。
 「け、剣心ッ?」
 もはや狼狽だの、戸惑いだの不安だのと言ってはいられなくなった。
 とにかく、今宵の優男の異変は甚だしい。
 男は優男の両肩を揺さぶった。
 「おい、剣心! 俺がわかるか?」
 「何を、頓馬なことを・・・左之でござろう・・・?」
 「そりゃまぁ、そうだが・・・その・・・どうしたんだよ、おめぇ! どうしてそんなに、その・・・とにかく!酒を一気に飲んじまって、どうするつもりでぇッ?」
 「・・・酒・・・?」
 彼の言葉に初めて、優男は自らの現状に気づいたかのように表情を一変させた。
 瞳に普段の鋭さが戻るが、それも一瞬。
 たちまち陶然とした面差しに戻りながらも・・・優男、本来の目的を思い出した。
 「そうだ・・・拙者は・・・」
 優男は。まっすぐに男を見つめた。
 男もまた、優男の眼差しを正面から受け止める。
 「左之。拙者・・・話したいことがござる」
 彼の瞳には、微量ながら迷いの色が滲んでいた。
 その事実に男は気づいたが、あえて黙っていた。
 今は、彼の意思を尊重したかったから。
 ・・・このような、いわゆる無謀としか思えぬ行動に走るのは、何か事情があってのことに違いない。
 沈着冷静であり続けた、この男がここまで乱れてしまう、理由を・・・。
 「いつもお主は・・・拙者を求めてくれた。己の気持ちを素直に告げて。拙者がはっきり想いを告げたことなどないのに、お主はいつも、拙者の側にいてくれた・・・」
 優男は瞼を閉じた。閉じ、浴衣に包まれてしまっている男の胸乳へとうなだれ、頬を擦り寄せる。
 「そのことが、その事実が当然だと思っていた。その現実が当たり前だと。けれど・・・ふと、思ったのでござる。いつも一緒にいるからと、側にいるからと・・・これから先も、果たしてそうであると言えるのだろうか、とな」
 男は、胸乳に感じる優男の息づかいに満足しながら、己が指先に赤毛を絡めながら聞き入る。
 「そんな確信はいったいどこから来るというのだ? 確証などありはしない。ならば、今まで思い続けてきた・・・信じ続けていた当たり前とは? いつからそのような根も葉もないモノを信じ始めたのか?」
 何を言い出すのだろう。そう思い、驚いた男が見たものは眉間にしわを刻んだ、この瞬間にでも雨が降りそうな優男の面差しだった。
 「いつから・・・いつから拙者はこのようになってしまったのでござろう? お主の顔を見るだけで、声を聞くだけで、拙者の心は荒ぶる。冷静ではいられなくなる、狂ってしまう・・・!」
 「剣心・・・?」
 「けれど、それらを表に出すことなど、拙者には到底出来なかった。お主は・・・拙者よりも若いゆえ・・・本音を言葉にすることなど到底、出来なかった・・・」
 ・・・とうとう。
 両の瞳に雫があふれた。
 男は苦笑をこぼしながらそっと、唇を寄せて雫を吸い上げる。
 「だが、お主の想いに甘んじてばかりいては、そのうち、拙者から離れてしまうのではないかと思ったのでござる。そしたら・・・そしたら急に、恐くなって・・・恐ろしく、なって・・・ッ!」
 「剣心・・・」
 「もう・・・もう、無心を偽り続けることは疲れた。お主が離れていくことはもっと辛い、嫌だ! だから・・・だから拙者、決心したのでござる」
 「決心・・・?」
 「三十路が近くなれば、自らの本音を口に出すことになかなか勇気がいる。だから、拙者は酒をあおった。普段の・・・意識を振り払うために」

 その時。
 優男の気配が少しく、澄んだ。
 摺り寄せていた頬を離し、男を見上げ。

 襟元がはだけ、肩口が垣間見えていた。
 胸元の、奥までが。
 眼下に深く広がっている。
 行燈の明かり、仄かに射し込み。

 ・・・夥しい、色香・・・

 「左之・・・左之、拙者は・・・」

 彼に寄せている両手が、小刻みに震えていた。
 コトリ、小さな喉仏が落ちた。

 「拙者は、左之に・・・惚れている」

 「・・・!」

 絡み合っていた糸がほどけていく。
 曇っていた胸裡が澄み、男の心は歓喜に揺さぶられた。

 すべては、
 この一言のために。
 すべては、
 「相楽左之助」のために。
 すべては、
 同じ時間を、同じ空気を、同じ場所を・・・得るために。

 男は。
 優男を軽く突っぱねた。
 支えを失った肢体は、褥の中へと落ちる。

 「ぁ・・・っ」
 肌の一片たりとて触れてもいないのに、優男は切なげな息をこぼした。
 男は沸き上がる喜びと微笑を噛み殺しながら、優男の胸元へと手を伸ばしてくつろげようとする。
 「あ・・・駄目・・・狡いでござるよ・・・」
 首を振って、優男は少しく身を起こした。
 両手が、男の帯へ・・・
 聞こえるか否かの声音が、男に降りかかる。
 「お主も脱がねば・・・狡い・・・」
 指先が、帯を引っ張った。
 解かれていく中、ハラリ。
 浴衣は開かれた。
 ・・・下から。
 鋼のような肉体が現れいでる。
 「左之・・・」
 優男はうっとりとため息を吐いた。彼の腕に組み敷かれながらも、身をすがらせるようにして唇を寄せていく。
 まずは、頤(おとがい)へ。
 「ん・・・」
 ついばむような柔らかな感触に、男は褥に両手をついたまましばし、意識を委ねる。
 唇は首筋、鎖骨・・・胸乳へと落ちてくる。男は薄く瞼を閉じた。
 「あ・・・剣心・・・」
 綿のような花弁が、胸に咲く小さな花をついばんだ。
 奥に潜む蠢く舌が、執拗に。
 「んっ・・・はあ・・・」
 男は、身体の奥がジクジクと火照ってくるのを感じていた。
 つい、突っぱねている両手に力がこもり、褥を握りしめてしまう。
 わななき始めた肌を、赤毛の唇は這い落ちていく。
 胸乳から腹部・・・腹部から・・・
 と。
 白魚のような指が、男の下帯にかかった。
 「剣心・・・?」
 名を呼ぶが、応答はない。
 彼は鼻を鳴らしながら丁寧に下帯を解いてしまうと、熱い猛りを視界に捉えた。
 「はぁぁ・・・」
 喘ぎが、男の耳朶を否応なく。
 男の、「まさか」という思いも虚しく。
 優男の唇は静かに、熱い猛りを迎え入れた。
 「く、ぅッ」
 あまりのことに男、全身を震わせた。
 両膝から力が抜け、否応なく褥の上で胡座を組まざるをえない。
 「剣、心・・・?」
 視線を落とせば。
 ・・・下腹部で。
 赤く透けた髪の毛が揺れていた。
 右手でそっと前髪を掻いてやれば・・・
 「んっ、ふぅ・・・ん」
 さらされた表情に、男はつい、意識を遣ってしまいそうになった。

 眉間に皺を寄せ、一見、苦渋の表情にも見えるがそれは明らかに、愉悦。
 小さな唇が、精一杯開いていて・・・

 「!」
 慌てて男、目を閉じた。
 ・・・危ない。意識が飛ぶところだった・・・
 だが。
 全身を穿ち始めた快楽の波が、男のすべてを押し流そうと迫り来る。

 「剣心・・・っ」

 洩れる吐息が、止まらない。
 ・・・聞こえる、卑猥な音・・・
 すべてを艶めくものに包み込まれ、
 つい、得たことのない感覚を追い求めて優男の頭、押しつけてしまう。

 「剣心・・・剣、心・・・はぁ、あぅ」

 白い指、優しく添え。
 唇を大きく開き。
 歯が当たらぬように、懸命な心遣いを見せている。
 始終、目を閉じてはいるが。
 垣間見せる眼差しの存在に、男はたまらなく・・・

 「だ、駄目だ、剣心っ、待て・・・!」

 画然、男は優男を突き放した。
 唇が、名残惜しそうに離れた刹那。
 「あ・・・」
 どちらの声であったのか。
 ・・・見れば、
 優男の十字傷に、白濁としたものが数滴、飛び散っていた。
 「け・・・剣心・・・?」
 恐る恐る、だったのだが。
 男の声は、彼には届かなかった。
 優男は口腔にあふれていた、男の一部を飲む下すと指先、己が十字傷へと寄せ。
 飛び散っていたそれをきれいに取り除くなり、唇の奥へ・・・。
 長身の男は、唖然として見つめてしまった。
 「左之・・・」
 微笑が。普段と変わらぬ微笑が。
 下から・・・下腹部から這い上がってくる。

 「左之・・・今の拙者に、口づけができるか・・・?」

 ゾクっ

 凄まじい悪寒が男を貫く。

 精に染まった優男は、白磁の肌をますます艶めいたものにしていた。
 瞳の奥にある光は、男の心に深く分け入ってくる。
 ・・・唇が。
 薄く開いて舌先を垣間見せた。

 「左之・・・」

 男は。

 己が胸にただならぬ情欲の炎が上がったことを知る。

 「俺を・・・見くびるなよ、剣心」

 その時。
 男は不敵な笑みを浮かべていた。

 「あ・・・!」
 優男の驚きの声は、もう一つの唇によって断たれた。
 男は、自らの意志そのものであるかのように、舌先を暴れさせて優男を翻弄する。
 再び褥へ横たわらせてしまってから、彼は唇を離した。
 「何が狡い、だ。狡いのはそっちじゃねぇか。まだ・・・おめぇの肌、拝んでねぇんだぜ」
 大きな掌、優男の胸元へと伸ばされて。
 帯を解き、襟を握って左右へ荒々しくくつろげた。
 「あっ・・・」
 声。それは、男の驚き。
 優男は顔を背け、短く呼吸を繰り返している。
 「おめぇ・・・下帯をはずして・・・」
 答えない。顔を背け、視線を背けたまま。

 肌を赤く染め抜いた裸体に。
 下腹部に如実に現れている「雄」の反応。
 隠すべき・・・覆われているはずのそれが、眼前にある。

 男の唇は卑しく歪んだ。

 「へぇ・・・そういうことかィ・・・嬉しいねぇ」
 クツクツと忍び笑いつつ。
 「剣心・・・たまんねぇ・・・」
 地を這うような低い声は、優男の脳を容易く崩壊させた。
 「さ、左之・・・!」
 彼の頭を捉えて優男、自ら口づけた。
 ・・・口づけながら。

 長身の男、微笑。

 「剣心・・・っ」
 唇を離すなり、男は優男の首筋へ噛み付いた。
 優男、首筋に儚い痛み。
 「あっ・・・!」
 「おめぇの身体に、俺のモノっていう焼き印をつけてやる」

 この言葉を合図に。
 儚い痛みは至る所へ飛び散っていく。
 肌の隅々、隈無く散策しながらの行為は優男を、狂喜させる。

 「あぁ、イヤ! 左之・・・っ」

 が。
 言葉とは裏腹な姿態。
 男がほくそ笑んだことは想像に難くない。

 己が強質な髪の毛を掻き回されながら、男は肌を味わい尽くしていく。
 ・・・やがて。
 唇は優男のもっとも深き迷宮へとさしかかる・・・

 「左之、左之・・・!」

 這わせていた舌をそのままに。
 男は優男を見遣る。
 いつの間にか瞳は開かれていた。
 両の瞳は雫で潤み、頬は熟れた果実のように。
 次々と間断なく襲い来る荒波に、時を追う事に濃厚になっていく快楽に、流されまいと必死になっているその唇が。
 いたいけなほどに噛み締められている。
 「イイ顔だぜェ・・・もっと・・・見せてみろ、鳴いてみな・・・?」
 やおら、男は唇を大きく開くと奥へ・・・もう一つの優男を導き入れた。

 「やっ、あああぁぁ・・・!」

 それは、舌先が優男の高ぶりに触れた瞬間のこと。
 男、気配を察して咄嗟、優男の高ぶりから唇を離した。

 「・・・っぁ、はぁ・・・!」

 案の定。
 あとわずか、だったのだろう。
 優男、寸前のところで打ち止めを食らい、男を鋭く睨め付けた。

 「おめぇ・・・感度いいなぁ。今、俺が少しでも触れてたら・・・」
 絶句し、煩悶たる思いと疼く身体を持て余し、優男は返答したくともできずにいる。
 自分の言葉が図星であることを知り、男はますます気を良くする。
 「そんな顔、するねェ。おめぇは俺の一番の好物だ。好物を味わって食うのは、当然のことだろう・・・?」
 「こ、好物・・・」
 まともに、彼の顔が見られない。
 きつく瞼を閉じた優男に、だが、男はさらなる追い打ちをかける。
 「それになぁ、これはさっきのお返しだぜ? おめぇが嬉しいことをしてくれるもんだから、よ・・・」
 赤毛の傍らへと身を横たえながら、男は覗き込む。
 優男、薄笑みを刷いた彼の顔など見ることができず、ますます瞳を開こうとはしない。
 「それから・・・もう一つ」
 「え・・・?」
 不意に耳朶に囁かれ、思わず優男、瞳を見開いてしまう。
 瞳の中に、男の憎らしい満面の笑み。
 「おめぇのおかげで、俺は一度気を遣ってる。この意味・・・わからねぇはず、ねぇよな?」
 「!」
 優男は愕然とした。
 本能の赴くままに彼を求めてしまったが、よもやこのような状況を招こうとは・・・。
 「さ・・・左之・・・っ」
 辛い。
 呼吸を乱し、優男は褥へと臀部を擦りつける。
 爪先、突っぱね。
 ・・・その様が。
 淫靡でこの上なく・・・男を否が応にも駆り立てる。
 あふれる生唾を飲み込み、再びざわめき始めた血潮にすべてを委ね。
 「何だ・・・? 剣心」
 優男の上へと四つん這いになりながら。だが決して肌を触れ合わさず。男は問うた。
 「は・・・早く・・・」
 「早く? ・・・はっきり言わねぇと、わかンねぇぜ」
 あくまでも触れてこようとしない男に、さしもの優男も我慢の限界だ。
 ・・・何度、こうして身をすがらせていけばよいのか。
 自らの愚かさを嘆きながらも、優男、鋼の肉体へ己が肌を重ねずにはいられない。
 「意地悪を・・・! 頼む、左之、拙者・・・あぁ・・・どうにかなりそうで・・・!」
 「じゃぁ・・・どうにかなっちまいな」
 「左之・・・ッ?」
 「狂えよ、剣心」
 男、優男を引き剥がすと画然、彼の下肢を持ち上げた。両足を己が両肩へと打ちかけると、密やかなる華がさらされた。
 「左之ッ?」
 今更、狼狽など。聞こえようはずもない。
 男はひっそりと待っていた華へと唇を埋めた。
 「んっ、ぁ!」
 肢体が跳ねた。
 無理な体勢であるにも拘わらず、優男の身体は柔軟に蠢き。
 「左之、やめ・・・!」
 男の舌が。
 優男の内部をまさぐっている。
 彼の楔とは違う動きに、優男は唇を噛んで堪え忍ぶ。
 うっかり集中力を途切らせようものならば、たちまち昇天してしまいそうで。
 ・・・次第に。
 白磁の肌が、跳ねることをやめて捩り始めた。
 「んぅ・・・あぁ・・・はぅん」
 甘い声に、男はちらりと視線をあげる。
 が。
 面差しを見ることは叶わない。
 あるのは。
 優男の・・・揺れる、「雄」。
 「こいつぁ・・・滅多に見られるもんじゃ、ねぇよなぁ・・・」
 呟きが、優男の内部へと溶け込んでいく。
 「さ、左之っ。そんなところで・・・しゃべる、な・・・ッ」
 ただでさえ。
 男の短い髪の毛が、己の高ぶりを掠めているのである。
 ささやかなる刺激だが、それすらも甘美なる苦痛でしかない。
 その上、声など吹き込まれようものならば・・・
 「駄目、左之・・・もう・・・!」
 「そいつは、ちっと早いぜ。もう少し・・・待ちねぇ」
 「そんな・・・いや、焦らすな・・・!」
 「焦らす・・・? 俺ァ、焦らしたつもりは全くないぜぇ」
 「ば、馬鹿っ。早く・・・来い、左之! お主が・・・お主が欲しい・・・ッ」
 「剣、心・・・」
 稀に見る。否、聴く。
 優男が自ら欲するなどと。
 今まで・・・一度か二度ほどしか聴いたことがない。
 星の数ほど、肌を重ねてきたというのに・・・!
 「剣心・・・!」
 この台詞で。
 男の最後の箍も外れた。
 焦らす、焦らさぬどころではない。

 ニヤリと。
 優男の瞳に男の笑みを映したのが、最後。
 すっかり上気してしまった身体を仰臥させられた途端、

 「はあぁぁ・・・ッ!」

 艶美な嬌声を発し、優男の身体は。
 長身の男の熱い楔を打ち込まれた。
 優男の手練により一度解放されていたとはいえ、以前よりもますます荒く猛り。
 ・・・それを、
 きゅっと両肩を竦め、自らを掻き抱くようにして優男、
 穿とうとする快楽に耐える。
 「しがみついてろよ。そんなんじゃ・・・耐えられねぇぜ?」
 これから先のことを暗示するかのような彼の台詞に、優男はたちまち不安に陥れられた。
 迷子になってしまった幼子のような、やや脅えた眼差し。
 優男は・・・素直にうなずき身体を、男へと預けた。
 「離れとは言え、声はそれなりに聞こえるだろうが・・・構わねぇ。思う存分、乱れろや」
 「左之・・・っ」
 「乱れてよがって、全身で俺を求めなッ。そうすりゃ、一緒に楽土へ行けるってェもんよ」

 一つ、大きく体が跳ね上がり。
 押さえ込むようにして、男の両手が優男をきつく抱きすくめる。
 そんな男に・・・
 白い二本の腕が寄り添った。
 筋肉の筋をなぞるように・・・上から、下へ・・・下から、上へ・・・
 指先が丁寧に輪郭を捉えた後。
 掌は強く、男の背中を抱きすくめた。
 脈動を始めた、背中を。
 汗ばみ始めた、背中を。
 男から離れてしまいそうなほどの勢いに、背に爪を立て。

 ツッ・・・滲む、赤い酒。

 蚊に刺されるほどの痛みだったかも知れない。
 だが、その痛みが余計、男を煽ったこともまた事実。

 「剣心、剣心・・・っ」

 言葉などいらない。
 名前だけ、呼んでくれれば。
 呼ばれるたびに、甘美な潮の流れが流れ込んでくるから。
 身の内が震えるから。
 心が、震えるから。

 触れる肌が、ぶつかる肌が。

 二色の対照的な色を描き出す。

 「あ、左之、もっと・・・もっと奥、まで・・・! あぁ・・・っ」

 瞳、悪寒を覚えるほどの色気を湛えた。
 貪婪に、求め。

 男はほくそ笑むと、何を思ったかそのまま自分が仰臥してしまった。
 「おら、自分で動いてみな」
 突然の展開ではあったが、優男は抗わない。むしろ、納得したのか何度もうなずいている。
 彼は均整の取れた腹部へ両手を宛うと。
 自らの腰部に動きを与えた。

 「あっ、んっ、はぁぁん」

 振り乱し、ただただ腰を動かすことに集中していく優男。
 普段の情事からでは考えられぬ姿。
 赤毛が、暗闇の宙に舞う。

 「おめぇがこんなに淫乱だったとは・・・知らなかったぜ」

 それは紛れもない本音だ。だが、今の優男に届いているとは思えない。
 優男の動きに、男も合わせる。
 互いに上下に、あるいは左右に動いているにも拘わらず、肌は離れることはない。
 密着し、細かな動きにすら応じている。
 優男からしてみれば。
 それは逃れているはずなのにどこまでも追いかけられているようで、離れたくとも離れられない状況に、切なげに鼻を鳴らしていた。

 快楽を一時でも長く楽しみたくて離れようと思うのに、男はそれを許してくれない。
 どんどん追い込まれていく。
 攻め立てられていく・・・!

 「左之、左之、左之・・・!」

 名を呼ばれ、男は応じる。
 応じるが、陶然とした瞳には既に、余裕は感じられない。
 彼もまた、優男の痴れた姿に酔いしれ、もはや臨界点に達しつつあったのだ。

 「おめぇ・・・ホントに、今宵は・・・」

 言葉が、続かない。

 こんなに幸せでいいのだろうか?

 自らの上で踊り狂う愛しい人を見つめながら、男は思う。

 彼の性格は、他の誰よりも知り尽くしていると自負している。
 その彼が、よもや自らの想いをうち明けるなどと、考えもつかなかったことだ。
 想像もつかなかったことだ。
 常に韜晦させた笑顔を浮かべ、己が心へ踏みいらさぬとする鉄の心。
 この心を打ち破ることは、肌を重ねるようになった男ですら容易なことではなかった。
 いつも一方的に想いを告げ、肌を求め、そして重ねてきた。
 優男もまた抗うことなく、また肯定するわけでもなく。自分に肌を許してきた。
 そして、考えなかったことなど・・・思わなかった日など一度とてない、

 優男が自分のことをどのように捉えているのか、と。

 考えぬわけがなかった。
 が、問うてみる勇気など、なかった。
 どれほど剛力に自信があったとしても、こればかりは勇気の一片も沸いてはこなかった。

 拒まれたらどうしよう。
 友情の延長などと言われたら。
 暇つぶしに相手をしていたのだと言われたら・・・。

 そんなことを言う男ではないと、百も承知している。
 しかし結局、人の心の深淵は誰にもわからない。
 口では何とでも言えるがその胸の内は・・・
 そう思うと、男の唇は重く閉ざされた。

 ・・・なのに。

 頑固一徹な優男が。
 自らの本心を全く垣間見せようともしなかった優男が。
 この夜。
 自らの本当の想いを吐露した。

 「左之に惚れている」

 たった一言を言うために、優男はどれほどの苦悩を強いられてきたのだろう。
 表面的には苦悩しているようには見えずとも、誰にもわからないところで悩み抜いていたはずだと男は悟る。
 さもなくば、このような企てを講じるはずがない。

 たった一言が言えなくて。
 企てた上に、酒に頼って・・・

 「剣心、おめぇってヤツは・・・」

 不器用な男だ。だがその不器用さが・・・

 「ますます惚れたぜ、剣心・・・」

 グッと、強く腰を突き上げて男、嬉しそうに微笑んだ。

 それにしても・・・この乱れぶりはどうしたことか。
 淫蕩な表情で、忘我に達して一つの感覚を追い続けている。
 やはりこれは・・・
 「こりゃぁ・・・下手な媚薬より、絶大だぜ・・・」
 優男の意識は、おそらく酒を飲んだことを後悔しているだろう。多量の酒を一度に体内に入れてしまったがために、こうして男の上で痴態を晒す自分がいる。
 そう、結論づけてしまうだろう。

 例えそうであっても。

 もはや、優男自身も止めることができずにいる。
 欲しくて、たまらない!
 たまらないのだから、どうしようもない・・・!

 「左之、左之! もうっ・・・!」
 「剣心・・・待ってろ、剣心・・・!」
 男はやおら起きあがると、優男を再び褥へと仰臥させた。
 柔軟な身体を折り曲げ、今や赤く染まった両足を抱え上げなお深く、自ら楔を埋め込んでいく。
 「あっ、あぁぁ・・・ッ」
 「剣心、剣心、剣心・・・!」

 必死の形相が、そこにある。
 目の前にいるのは、欲望に身も心も支配された一匹の雄。
 貪欲に優男を求める、快楽の僕。
 それは・・・優男とて同様であった。

 「う、んっ、左之、左之・・・!」

 優男が男へとすがりつき、
 男が優男へ顔を突っ伏した瞬間・・・

 「・・・ッ!」

 互いの身体は同時に震えた。

 それまで脳裏を占めていたありとあらゆる色は失われ、純白の光が舞い降りる。
 「は・・・」
 声にならぬ声を洩らし。

 ・・・二人は、褥へ崩れ落ちた。






 「・・・心、剣心、おい」
 「う、ん・・・」
 軽く頬を撫でられる感触に、優男は薄く瞳を開いた。
 薄闇の中に。
 微笑を浮かべる一人の男。
 確か、名は・・・
 「・・・左之・・・?」
 「おぅ、気分はどうでぇ」
 「ん・・・妙に、頭が痛いでござる・・・」
 「そっか。まぁ、ゆっくり寝てな」
 「あぁ・・・」
 半分意識は眠っている。虚ろながら返事をしつつ、再び瞼を閉じようとする。
 「しかし、驚いたぜ。おめぇがあんな無茶をするなんてよ」
 「無茶・・・?」
 「銚子を五本、徳利一本を空けちまっただろ」
 「あ・・・」
 そこでようやく、優男は自らの行為を思い出した。
 湯殿から部屋へ戻り。
 部屋へ戻って男を追い出し。
 それからの愚行を彼は、逐一脳裏に甦らせてしまった。
 即ち・・・
 「おめぇの気持ち、うれしかったぜ」
 男に言われて俄然、正気を失いかける。
 「あの、それは・・・その・・・ッ」
 「今更、照れるこたぁねぇだろ」
 ニタニタと笑いながら、男は頬を赤らめている。思い出しているのかも知れないと思うと、優男は赤面せずにはいられない。
 「そんなこと・・・言うな・・・」
 「どうしてでェ?」
 「・・・恥ずかしいからに決まっているでござろう」
 「・・・今宵のおめぇは、妙に素直だな」
 「え?」
 顧みれば、やはり男の幸せそうな顔。
 「いつもなら、そんなことは言わねぇのに・・・」
 「・・・今宵だけでござるよ」
 「ン・・・そうだろうな。それでもいいよ。だから・・・」

 褥の中。
 優男の身体を抱きすくめ。
 長身の男は、切なげに頬を擦り寄せた。

 「もう一度、言ってくれよ。もう一度、聞かせてくれ。さっきの言葉・・・」
 「左之・・・」

 一度は。
 酒の勢いに任せた。
 酒でもなければ到底、言えそうにない言葉だったから。
 けれども、今ならば。
 男の腕の中にいる今ならば・・・

 「左之・・・」

 彼の胸乳に唇を押しつけて。
 囁く。

 「拙者、左之に惚れているでござるよ」




     了


背景画像提供:「十五夜」さま http://www.h4.dion.ne.jp/~ju-goya/

〜 HP「花は爛漫」さま内・「Chocolate House」部屋へ捧ぐ 〜





m(_ _)m

 拝啓 〜 「決意、真実の夜」編(改訂 01/7.18)

 お題は「バレンタイン」(涙)。
 しかし、「るろうに」の世界は明治。果たして、明治の時代にバレンタインなるものは存在したのか?というところからまず始まったのでござるが・・・。詳しく調べたわけではござらぬが、バレンタインが日本に入ってきたのは昭和の時代。つまり、剣心達には全く、無用の習慣ということに・・・。
 しかしながら、「るろうに」を現代物として書く気はさらさらなかったゆえ、とりあえず「バレンタイン」という名だけ登場させることにしたのでござる(笑)。
 発想として、「バレンタイン」→「告白」ということにして、「剣心の告白」を中心に据えることに。
 その結果が、コレ(笑)。
 しかし・・・よく考えてみると、剣心は恐らく、酒に関しては「ザル」でござろう。いくら飲んでも、酔わぬはず・・・(笑)。
 ま、その辺は朧ながらに感じてはいたゆえ、「ならば一気に飲ませれば!」と考えつき・・・このようなことに・・・
 剣心、偉かったというべきなのでござるかな? いろいろな意味で(笑)。

 旅籠へもっていく課程が、少々強引過ぎはしないか、と今更ながらに思ったのでござるが・・・これも後の祭り、後悔先に立たず、でござるなぁ(涙)。
 ん〜、剣心の内面も、もう少し突き詰めれば・・・妙に、唐突な展開のような気がしてならぬのでござるよねぇ・・・て、だから今、気づくな(涙)!
 左之は・・・相変わらず(笑)。今回は少々流されっぱなしでござったが、まぁ、これはこれでよいのではないかと・・・思うでござる(笑)。

 とはいえ・・・ただただ、長いうえに・・・またしても濃いだけでござるなぁ、コレは(涙)。
 お目汚し、ありがとうでござりました!
 m(_ _)m